スマートフォンの普及により、接骨院・整骨院の集患方法は大きく変化しました。かつての折込チラシやポスティングによる集患から、今やGoogleでの検索を通じて来院を決める患者さんが大半を占めるようになっています。このような変化の中で、SEO対策(検索エンジン最適化)は、接骨院経営における重要な課題となっています。しかし、「何から始めればよいかわからない」「効果が見えにくい」といった声も少なくありません。
私たちディプシーは、多くの接骨院のWebサイト支援に携わってきた経験から、効果的なSEO対策には明確なパターンがあることがわかっています。
本記事では、実際の成功事例をもとに、接骨院・整骨院に特化したSEO対策の実践方法をご紹介します。すぐに始められる具体的な施策から、長期的な戦略の立て方まで、段階を追って解説していきます。特に、患者さんの信頼を獲得し、実際の来院につなげるためのコンテンツ作りに重点を置いて説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
- 【本記事を読んでほしい人】
- ・新規開業を予定しており、開業前から効果的な集患の仕組みを作りたい方
- ・すでに開業しているものの、従来の集患方法の効果が低下を感じている先生
- ・自院のホームページはあるが、なかなか検索順位が上がらず、集患につながっていない方
- ・SEO対策に興味はあるが、何から始めればよいか迷っている経営者
- ・Web集客の重要性は理解しているが、自院に合った予算配分や投資対効果の判断基準を知りたい方
接骨院のSEO対策がなぜ重要なのか?

接骨院の集客において、近年特に重要なのは「スマートフォンからの検索で来院する患者さん」の重要性です。実際、新規患者さんの7割以上がGoogleで検索してから来院を決めるというデータもあります。
接骨院業界における競争激化とSEO対策の関係
全国の接骨院・整骨院の数は、2017年時点で45,572院(厚生労働省「平成30年医療施設調査」)に達しており、その後も増加傾向が続いています。私たちが支援する中でも、「近隣に次々と新しい接骨院ができて、競争が激しくなった」という院長先生の声をよく耳にします。
さらに厳しい現実として、柔道整復・はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧市場は2021年度で4,920億円規模(矢野経済研究所)と横ばいが続く中、新規開業による競争激化で経営環境は年々厳しさを増しています。
特に懸念されるのは、接骨院・整骨院の倒産件数の増加です。帝国データバンクの調査によれば、2014年から2018年にかけて倒産件数は右肩上がりとなっています。このような状況下にもかかわらず業績を伸ばしている接骨院に共通しているのは、効果的なSEO対策を実施しているということです。
従来の集客方法の限界
従来の接骨院の集客方法には、以下のような課題があります。
集客方法 | 課題 |
---|---|
チラシのポスティング | 配布コストが高く、反応率が年々低下 |
新聞折込広告 | 購読率の低下により効果が限定的 |
看板やのぼり旗 | 通行人の目に留まりにくく、情報量も限定的 |
既存患者さんからの紹介 | 安定した集客につながるが、数に限界がある |
実際、新規開業院の約7割が「思うように集客できない」と回答しています(新・鍼灸柔整新聞 )。
これに対し、効果的なSEO対策には以下のような明確なメリットがあります。
検索意図を持った潜在的な患者さんと出会える
SEO対策を実施すると、腰痛や肩こりなど、実際に治療を求めている方々に直接アプローチできます。ある接骨院では、検索流入からの来院率が従来の広告の3倍以上という結果も出ています。
24時間365日の自動集客
夜間や休日でも、検索した方に院の情報が届きます。特に、仕事帰りの方からの予約が増えた、という声をよく聞きます。
地域に特化した効率的な集客
「○○市 腰痛 接骨院」といった検索にピンポイントで対応できます。実際の来院にもつながりやすい大きなメリットです。
長期的な費用対効果
一度上位表示を獲得すれば、継続的な集客が見込めます。チラシ配布などと比べ、長期的にはコストパフォーマンスが格段に優れています。
信頼性の向上
検索上位表示は、そのまま院への信頼につながります。「検索したら上位に出てきたから選びました」という声も少なくありません。


接骨院経営者のためのSEO対策基礎知識

そんなSEO対策ですが、まず基礎を理解することが重要です。SEOの仕組みから順を追って説明していきましょう。
検索エンジンの基本的な仕組み
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示を目指すための施策の総称です。検索エンジンの中でも、特にGoogleでの最適化が重要です。
検索エンジンは、次のように3段階でウェブサイトの価値を判断しています。
まず、一段階として、Googleのロボットがウェブサイトを巡回し、コンテンツを収集します。接骨院サイトであれば、施術内容や症状の説明、院の特徴などの情報を取得していきます。
次に、収集した情報を分析し、データベースに登録します。この際、サイトの構造や内容の質が重要な判断材料となります。
そして最後に、検索キーワードに対して、最も適切なコンテンツを判断し、順位付けを行います。この際、特に重視されるのが「ユーザーにとっての価値」です。
接骨院のSEO対策が集客に与える具体的な効果
SEO対策の最も顕著な効果として、オーガニック流入の増加が挙げられます。
「オーガニック流入」とは、検索エンジンで自然に上位表示されたサイトから訪れる訪問者のことを指します。例えば、患者さんが「渋谷 腰痛 接骨院」とGoogleで検索し、広告ではない検索結果から自院のサイトを見つけて訪れる。これがオーガニック流入です。広告のように費用が発生せず、検索エンジンで上位表示されることで自然に集患できる点が大きな特徴です。適切なSEO対策を行うことで、このオーガニック流入を増やすことができます。
つまり、オーガニック流入が増えるということは、広告費をかけずに継続的な集客が可能になるということです。
さらに、検索して訪れる方は施術を受けたいという明確な意図を持っているため、予約率も向上する傾向にあります。特に「腰痛」「肩こり」などの症状に関するキーワードからの流入は、新規患者さんの獲得に直結しやすいことが、これまでの支援実績からも明らかになっています。
接骨院サイトにおける広告とSEO対策の使い分け
検索結果には「広告(リスティング広告)」と「自然検索結果」という二つの表示方法があります。
リスティング広告は、すぐに上位表示が可能である一方、クリックするたびに費用が発生し、予算がなくなると表示されなくなるという特徴があります。また、「広告」という表示があるため、信頼性の面でやや劣る傾向にあります。
これに対して自然検索結果(SEO対策)は、効果が表れるまでに通常3〜6ヶ月ほどの時間を要するものの、クリックごとの費用は発生せず、継続的な表示が期待できます。また、より自然な形での信頼獲得が可能という大きな利点があります。
私たちがいつもおすすめしているのは、まず広告で即効性のある集客を行いながら、並行してSEO対策を進めていく方法です。これにより、短期的な集客と長期的な基盤作りの両立が可能となります。
例えば、開院直後の認知度向上や季節性の強い症状への対応、キャンペーン告知には広告を活用し、地域での認知度確立や専門性の訴求、継続的な新規患者さんの獲得にはSEO対策を行うという具合です。

接骨院・整骨院に特化したSEO戦略の全体像

「地域性」と「専門性」を効果的に組み合わせたSEO戦略を実施している接骨院は成果を上げやすくなります。その具体的な戦略の全体像について解説します。
接骨院のためのローカルSEO対策とは
接骨院のSEO対策で最も重要なのが、ローカルSEOの視点です。
というのも、接骨院の場合は来院を伴うため、一般的なSEO対策と異なり、検索した方の所在地との関連性が非常に重要なのです。
例えば実際の検索行動を見ると、多くの方が「渋谷 接骨院」「新宿 腰痛」といった地域名を含むキーワードで検索しています。このような地域性の高い検索に対して上位表示されることが、実際の来院につながる重要な要素となります。
また、GoogleマイビジネスとSEOを連動させることで、より効果的な地域戦略を展開することが可能です。地図検索での表示順位向上は、スマートフォンからの検索で特に重要な要素となっています。
接骨院に効果的な地域密着型キーワード戦略
地域性のあるキーワードは大きく三つのパターンに分類できます。
一つ目は「地域名+接骨院」という基本的な組み合わせ、
二つ目は「地域名+症状」という患者さんの悩みに即した組み合わせ、
そして三つ目は「地域名+駅名+接骨院」という、さらに細かい地域性を持たせた組み合わせです。
これらのキーワードに対して、それぞれ適切なコンテンツを用意すれば、多角的にアプローチすることができます。
ただし、同じような内容を単に地域名を変えて複製するような方法は、むしろマイナスの効果をもたらす可能性があります。それぞれの地域の特性や、想定される患者さんの属性に合わせたコンテンツを作りましょう。
患者さんの信頼を獲得するコンテンツづくり
地域性と並んで重要なのが、専門性の高いコンテンツの作成です。
検索エンジンは、医療系のコンテンツに対して特に厳密な評価基準を設けています。これは2018年8月の医療系アップデート以降、より顕著になっている傾向です。2018年8月に実施されたGoogleの大規模アップデートは医療系アップデートと呼ばれていますが、医療・健康に関するコンテンツについて、特に以下の点を重視するようになりました。
- ・専門的な医療知識に基づいた正確な情報発信
- ・執筆者(施術者)の経歴や資格の明示
- ・患者様の健康や生命に関わる情報の責任ある提供
- ・科学的根拠のある治療法の説明
- ・具体的な施術例や治療実績の提示
(Google Search Central Blog「What webmasters should know about Google’s core updates」より)
つまり、単に「腰痛に効果的」と書くだけでなく、なぜその施術方法が効果的なのか、どのようなメカニズムで症状が改善されるのか、といった詳細な説明が求められるようになったと言えます。そのため、接骨院のホームページでは以下のような対応が重要になりました。
- ・院長や柔道整復師の資格・経歴を詳しく紹介する
- ・施術内容について、医学的な根拠を含めて説明する
- ・実際の施術例を、患者様の同意を得た上で具体的に紹介する
- ・誇大な表現を避け、正確な情報提供を心がける
- ・定期的に最新の医学的知見を反映させた内容更新を行う
信頼を獲得するコンテンツづくりにおいて重要なのは、まず院長先生や柔道整復師の方々の実際の知見を活かすことです。私たちディプシーでは、取材を通じて先生方の専門的な知識や経験を丁寧に引き出し、それをわかりやすい形で文章化していきます。
また、症状や施術方法の説明においても、単なる一般的な情報ではなく、実際の施術例や患者さんの声を交えながら、具体的でリアリティのある内容を心がけています。このような実践に基づいたコンテンツは、検索エンジンからの評価も高く、実際の集客にも効果的です。 特に重要なのは、コンテンツの正確性と最新性です。定期的な内容の見直しと更新を行うことで、検索エンジンからの評価を維持・向上させることができます。また、新しい治療法や設備の導入があった場合は、迅速にコンテンツに反映させることも重要です。

接骨院サイトのSEO対策実践手順

SEO対策の基本戦略を理解したところで、具体的な実践手順に移っていきましょう。
これらの施策は、一度実施して終わりではありません。定期的な効果測定と改善を繰り返すことで、より効果的なSEO対策を実現することができます。
Webサイトの構造を最適化する
サイト構造の最適化は、SEO対策の土台となる重要な要素です。
特に接骨院サイトの場合、以下のような構造が効果的です。まずトップページでは、院の特徴や強みを明確に打ち出します。私たちが支援した東京都内のある接骨院では、「朝7時から診療」という特徴を前面に出すことで、通勤前に来院したい方からの予約が大幅に増加しました。
次に、症状別と施術方法別のページを体系的に設けます。例えば「腰痛」のページからは関連する「骨盤矯正」のページへ自然に誘導できる構造とすることで、サイト内の回遊性を高めることができます。
このような改善で、Webサイトの直帰率を20%以上改善した事例もあります。
ディプシーからのアドバイス
直帰率とは、サイトに訪れた方が他のページを見ることなく離脱してしまう割合のことです。直帰率が高いということは、訪問者が求める情報をページ内で見つけられなかった可能性があります。接骨院サイトの場合、特に「症状別ページ」から「施術内容」や「予約ページ」への自然な誘導が重要です。例えば「腰痛」のページから関連する「骨盤矯正」の説明ページへ、さらに「施術の流れ」や「予約方法」へとスムーズに誘導できる構造にすることで、直帰率を下げることができます。
E-E-A-Tを意識したコンテンツ作り
Googleでは、特に医療系サイトにおいてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重要視します。
これはGoogleがWebサイトの質を評価する際の重要な判断基準で、以下の4つの要素の頭文字をとったものです。
- Experience(経験)
- ・実際の経験に基づく情報提供
- ・具体的な施術例や患者様の声
- ・現場での知見の共有
- Expertise(専門性)
- ・柔道整復師としての専門知識
- ・正確な医学的知識
- ・治療技術や手法についての深い理解
- Authoritativeness(権威性)
- ・業界での実績や評価
- ・所属学会や研修実績
- ・他の医療機関からの信頼
- Trustworthiness(信頼性)
- ・サイト情報の正確さと最新性
- ・誇大表現のない誠実な情報提供
- ・プライバシーポリシーなどの整備
この4要素を適切に示すことが重要で、患者さんからの信頼も獲得できます。

例えば、院長先生の経歴や治療実績、所属学会などの情報を効果的に掲載することで、サイトの信頼性向上を図れるのです。 特に効果が高いのが、実際の治療例のご紹介です。もちろん個人情報には十分配慮しながら、どのような症状の方がどのように改善されたのか、具体的なストーリーとして紹介することで、専門性と信頼性の両方を訴求することができます。
MEO対策との連携強化
近年特に重要性を増しているのが、MEO対策(Map Engine Optimization)です。Googleマイビジネスの最適化により、地図検索での露出を増やすことができます。
具体的には、基本情報の充実はもちろん、定期的な投稿更新や、患者さんからの口コミへの丁寧な返信が重要です。ある接骨院では、このような地道な取り組みにより、半年間で地図検索からの問い合わせが3倍に増加しました。
MEOについては以下の記事で詳しく説明しています。
治療院経営者のためのMEO上位表示法
効果的な内部リンク構造の構築
サイト内の導線設計も、SEO対策の重要な要素です。症状から治療法、そして来院までスムーズに誘導できる内部リンク構造を構築することで、コンバージョン率(予約や来院していただける率)を向上させることができます。
例えば、「腰痛」のページからは関連する施術方法や、実際の治療例、来院までの流れなど、患者さんが知りたい情報へスムーズにアクセスできるよう設計します。この際、重要なのはユーザーの行動動線を意識することです。
実際に私たちが支援したある接骨院では、内部リンクを最適化したことで、サイト内の平均滞在時間が1.5倍に増加し、予約率も向上しました。ユーザーの行動分析に基づく、きめ細かな導線設計が功を奏した事例といえます。

接骨院SEO対策におけるキーワード戦略

私たちディプシーは、数々の接骨院サイトの分析を通じて、効果的なキーワード戦略のパターンを確立してきました。ここでは、実際の成功事例をもとに、具体的な戦略をお伝えしていきます。
接骨院の地域性を活かしたキーワード展開
地域性を活かしたキーワード戦略は、実際の来院につながりやすい重要な要素です。
ある接骨院では、以下のようなアプローチで大きな成果を上げました。
まず、地域名(例:「新宿区 接骨院」)に加えて、駅名を含むキーワード(「新宿駅 接骨院」)でも上位表示を目指します。さらに、商業エリアや住宅地の名称なども効果的です。患者さんが実際に通院できる範囲を考えながら、地域名を含んだ検索キーワードを丁寧に設定していくことが重要です。例えば、最寄り駅名や地域の通称名、商業施設名なども含めて、患者さんが使う可能性のある地名を幅広くカバーしていきます。
また、近年では「駅近」「夜間対応」といった利便性に関するキーワードとの組み合わせも効果を発揮しています。特に働き世代の多いエリアでは、「新宿 接骨院 21時まで」といった具体的な時間帯を含むキーワードからの流入も増加傾向にあります。
症状・施術に関連するキーワード選定
症状や施術に関連するキーワードは、より具体的な悩みを持つ患者さんにリーチできる重要な要素です。
特に効果の高いキーワードパターンをご紹介しましょう。
まず基本となるのは、一般的な症状名と地域名の組み合わせです。例えば「渋谷 腰痛」「新宿 肩こり」といった検索は非常に多く、競合も多いキーワードです。しかし、より具体的な症状や状況を組み合わせることで、ニッチな需要を取り込むことができます。例えば「デスクワーク 肩こり 接骨院」「寝違え 首 痛み」といったロングテールキーワードは、競合が少なく、かつ具体的な悩みを持つ方にリーチできます。
ディプシーからのアドバイス
ロングテールキーワードとは、検索回数は少ないものの、より具体的で詳しい内容を含む検索キーワードのことです。
例えば、接骨院の場合、シンプルな検索キーワードは「渋谷 接骨院」といったものですが、ロングテールキーワードで考えると、「渋谷 接骨院 腰痛 土曜診療」「渋谷駅 徒歩5分 スポーツ専門 接骨院」「デスクワーク 肩こり 接骨院 渋谷」といったものが考えられます。このようなロングテールキーワードは、より具体的な悩みや要望を持つ患者様からの検索に対応できます。競争が比較的少なく、実際の来院につながりやすいという特徴があります。
ロングテールキーワードの活用方法
ロングテールキーワードは、一見すると検索ボリュームは小さいものの、実際の来院につながりやすい重要な要素です。
私たちの経験では、特に以下のようなパターンが効果的です。
具体的な状況や悩みを含むキーワード
例えば「産後の骨盤矯正」「スポーツ後の膝の痛み」といった具体的なシチュエーションを含むキーワードは、よりニーズに即した情報提供が可能です。
質問形式のキーワード
「腰痛はいつまで通院が必要?」「骨盤矯正は何回通う?」といった疑問形のキーワードも、情報を求める方の具体的なニーズに応えることができます。
特に重要なのは、これらのキーワードに対して、実際の治療例や具体的な説明を含むコンテンツを用意することです。形式的な情報ではなく、実践に基づいた具体的な内容を提供することで、検索エンジンからの評価も、実際の来院にもつながりやすくなります。

接骨院向けSEOコンテンツ作成の実践テクニック

私たちの経験上、検索エンジンからの評価が高く、かつ実際の来院につながるコンテンツには、明確な特徴があります。
患者さん目線での接骨院サイトコンテンツ設計
良質なコンテンツ作成の第一歩は、患者さんの不安や悩みを深く理解することです。
ある接骨院では、来院される患者さんに詳細なヒアリングを実施したところ、以下のような具体的な悩みが浮かび上がってきました。
腰痛に関する悩みでは、「朝起きた時に激しい痛みがある」「座っている時は大丈夫なのに、立ち上がる時に痛む」「レントゲンでは異常が見つからなかったのに痛みが続く」といった具体的な状況が数多く寄せられました。
これらの声に応えるため、症状が起こるメカニズムと、それぞれの状況における具体的な施術方法を、図解や動画を交えて詳しく解説したところ、ページの直帰率が劇的に下がりました。また、このページを見て来院された方の初回施術後の継続率も向上しました。
また、交通事故による首の痛みを専門とする接骨院では、「むち打ちと診断されたが、いつまで通院が必要なのか不安」「保険での治療について詳しく知りたい」といった声が見られたため、治療計画や保険診療についての詳細な説明ページを作成した結果、問い合わせ時点での来院意欲が大きく向上し、実際の来院率も増加しました。
専門性と読みやすさの両立手法
ある接骨院では、「坐骨神経痛」について説明する際に、以下のような段階的なアプローチを採用しました。
ステップ1. まず症状の概要を、日常生活での具体例から説明
「長時間座っていると、お尻から太もも裏にかけてジンジンとした痛みやしびれが出る」という具体的な状況から入り、徐々に専門的な説明へと展開。
ステップ2. 解剖学的な説明には、わかりやすい比喩を活用
「坐骨神経は、太もも裏を通る太い電線のようなもの。この電線が周囲の筋肉に押しつぶされると、電気が通りにくくなってしびれが出現します」といった表現で、専門的な内容をイメージしやすく説明。
ステップ3. 施術方法の説明では、期待される効果を具体的に提示
「初回の施術で痛みが和らぐ方が約7割、3回の施術で8割以上の方に改善が見られます」など、実績に基づいた具体的な数値を示しながら説明。

このような段階的なアプローチにより、ページの平均滞在時間が増加。また、このページを経由した予約率は他のページの1.5倍にもなりました。
ディプシーからのアドバイス
平均滞在時間は、サイトの内容が訪問者にとって有益かどうかを示す重要な指標です。接骨院サイトの場合、3分以上の滞在時間が望ましいとされています。滞在時間を延ばすコツは、症状の説明から治療方法、そして実際の施術例へと、患者様の関心に沿って自然に読み進められる文章構成です。特に、専門用語には分かりやすい説明を添えたり、図解や写真を効果的に使用したりすることで、内容への理解が深まり、結果として滞在時間が伸びていきます。
更新頻度と鮮度を保つ
ある接骨院では、季節性のある症状を意識し、次のように季節に応じてコンテンツを追加することで、検索順位が安定的に向上しました。
- 4月:新学期の子どもの姿勢矯正と重いランドセルによる腰痛対
- 7月:エアコンによる首こり・肩こりの予防と対策
- 10月:秋の運動シーズンのスポーツ障害予防
- 1月:寒さによる腰痛・関節痛への対処法
また、スタッフの研修参加報告や新しい施術機器の導入、学会参加レポートなど、専門性の高い情報も定期的に更新したり、治療成功事例の詳細な記録や患者さんの声、よくある質問の追加など、実践的な情報も継続的に発信したりしています。

こうした取り組みの結果、オーガニック流入が半年で2.3倍に増加しました。特に、治療成功事例の詳細な記録は、同様の症状を持つ方からの問い合わせに直結する結果となりました
ディプシーからのアドバイス
オーガニック流入とは、自然検索からの訪問者のことです。このような訪問者は「情報を求めている」という特徴があるため、広告やチラシよりも来院につながりやすく、特に症状の原因や治療方法を詳しく知りたい方からのアクセスが多いのが特徴です。サイト内では、その探している情報にしっかりと応えることを意識しましょう。例えば「肩こりの原因」を検索してきた方には、症状の詳しい説明だけでなく、実際の施術例や回復までの流れなど、来院の判断材料となる情報まで丁寧に提供することが重要です。

接骨院サイトのSEO対策における注意点

整骨院様を支援する中で、実際に起きた事例をもとに、避けるべき施策と対処方法について詳しく解説していきます。
接骨院サイトで避けるべきSEO施策
ある接骨院では、他社にSEO対策を依頼したところ、その業者が安易なコピーコンテンツを大量に作成したため、Googleからペナルティを受け、検索順位が大きく低下し、来院数も前年比で大きくダウンする事態に陥りました。
私たちがチェックしたところ、複数の地域名を単に置き換えただけの同一コンテンツや、他院のサイトから引用した内容をそのまま使用するといった、品質の低い施策が行われていることがわかりました。これは典型的な「スパム的手法」として、Googleのアルゴリズムから厳しいペナルティを受けます。
私たちはこの案件を引き継ぎ、まず既存コンテンツの完全な見直しから着手しました。地域ごとの特性や、実際の施術例、患者さんの声などを丁寧に取材し、オリジナルコンテンツとして再構築。その結果、約4ヶ月かけて徐々に検索順位が回復し、最終的には以前を上回る集客を実現することができました。
ペナルティのリスクと対処法
ある接骨院のホームページでは、ページ同士のリンクに問題があり、一時的にGoogle検索での表示順位が下がってしまいました。
「腰痛の治療法はこちらをクリック」というような機械的な案内文が多用されていたことが原因です。このような場合は、「急な腰痛でお困りの方には、超音波治療と手技による施術を組み合わせることで、痛みの緩和が期待できます。」(下線部にリンクを設定)というように、説明文の中で関連するキーワードに自然な形でリンクを設定し、読者が興味を持った部分をクリックして詳しい説明を読めるようにするのがいいでしょう。
また、関連する症状のページ同士も相互リンクしました。たとえば肩こりのページを読んでいる方は、首の痛みや頭痛にも関心があるかもしれないので、「肩こりは首の痛みや頭痛を引き起こすことがあります」(下線部にそれぞれのページへのリンクを設定)といった形で、自然な文脈の中でリンクを設置しました。
この改善により、サイトを訪れた方が複数のページを読んでくださるようになり、結果としてGoogle検索での表示順位も回復しました。
SEO業者選定の注意点
上記以外にも、「短期間で上位表示を保証する」といううたい文句に惹かれ、実績の浅いSEO業者と契約してしまい、Googleのガイドラインに反する手法が使用され、結果として検索結果から完全に除外されてしまった接骨院様があります。
先ほどから紹介しているような事態に陥らないように、SEO対策を依頼する業者を選定する際には、以下のような点に注意することが必要です。
- 過去の具体的な支援実績と、その結果に至るまでのプロセス: 特に接骨院サイトの支援実績があるかどうかは重要なポイントとなります。
- 施策の内容を具体的に説明できるか: 「専門的なノウハウなので説明できない」と回答する業者は要注意です。私たちディプシーでは、すべての施策とその意図をわかりやすく説明することを心がけています。

効果測定と改善の進め方

SEO対策の効果を継続的に高めていくためには、科学的なアプローチで効果を測定し、改善していくことが必要です。ここでは、実際の成功事例をもとに、その具体的な方法をご紹介します。
重要な指標の見方
ある接骨院では、月間のオーガニック流入数は増加傾向にあったものの、実際の予約数が伸び悩んでいました。そこで詳細な分析を行った結果、スマートフォンからのアクセスにおいて、予約フォームまでの導線に課題があることが判明したのです。
具体的には、施術内容のページから予約ページまでの離脱率が高く、特に診療時間の確認から予約フォームへの移行時に多くのユーザーが離脱していることがわかりました。 そこで、診療時間をより見やすい位置に配置し、予約可能な時間帯をカレンダー形式で表示するように改善したところ、予約完了率を向上させることができました。
PDCAサイクルの回し方
ある福岡市の接骨院では、体系的なPDCAサイクルの運用により、着実な成果を上げています。
まず、毎月の定例ミーティングで前月の数値を確認。特に注目したのは、検索クエリごとの流入数とそこからの予約率です。
例えば「腰痛 整体 福岡」というキーワードからの流入は多いものの、予約率が低いことが判明。コンテンツを詳しく分析したところ、急性の腰痛に対する対応についての説明が不足していることがわかりました。そこで、「ぎっくり腰での来院からの回復事例」など、具体的な施術例を追加しました。その結果、同キーワードからの予約率が大きく向上しました。

長期的な視点での戦略調整
別な接骨院では、2年間にわたって継続的に改善していくことで、安定した集客を実現しています。
この接骨院の特筆すべきポイントは、検索トレンドの変化を先取りした戦略調整です。
例えば、昨今、在宅ワークが増加していることに注目し、「デスクワーク 肩こり」関連の検索が増加傾向にあることを察知しました。そこで、オフィスワーカー向けのセルフケア情報と、予防的な施術の重要性を訴求するコンテンツを展開したのです。その結果、休日診療の予約が1.5倍に増加。特に、平日は仕事で来院が難しい層からの予約が顕著に増えました。
さらに、LINEでの予約受付を開始し、若い世代の利便性を向上したことで、20〜30代の患者さんが増加し、年齢層の偏りも改善されました。
また、定期的なGoogle検索コンソールのデータ分析により、季節性のある検索キーワードの傾向も把握。例えば「冷え性 腰痛」は冬季に、「エアコン 首こり」は夏季に検索数が増加することから、それぞれの季節の2ヶ月前からコンテンツの強化を行うことで、効果的な集客を実現しています。
ディプシーからのアドバイス
Google検索コンソールは、自院のサイトがGoogleでどのように検索されているかを確認できる無料ツールです。どんなキーワードで検索されているか、実際のクリック数はどのくらいかなど、重要なデータを見ることができます。特に接骨院サイトの場合、「腰痛」「肩こり」といった症状に関する検索ワードの傾向を把握することで、効果的なコンテンツ作成が可能になります。例えば、「座りっぱなし 腰痛」という検索が増えていることがわかれば、デスクワークによる腰痛に特化した記事を作成するといった具体的な対策が打てます。

費用対効果を最大化するために

私たちは、多くの接骨院のSEO対策支援を通じて、投資効果を最大化するための知見を蓄積してきました。ここでは、具体的な事例をもとに、効果的な予算配分と投資回収の考え方についてご説明します。
予算配分の考え方
ある接骨院では、従来から集客予算のほとんどをチラシのポスティングと折込広告に投じていました。しかし、反応率の低下に悩んでいたため、予算配分を見直すことにしました。
まず、一時的な認知度向上が必要な開院直後は、予算の大部分をリスティング広告に、残りをSEO対策の基盤作りに配分。その後、SEOの効果が現れ始めてからは、徐々にSEO対策の比重を高めていく形に移行しました。
この結果、半年後には新規患者数が大幅に増加。さらに、SEO経由の患者さんは継続率が高く、長期的な収益に大きく貢献する結果となりました。広告費用の総額は以前と変わらないにも関わらず、患者さん一人あたりの集客コストは着実に減少していきました。

自院でできる対策と外注すべき領域
別の接骨院では、日々の患者さんとの会話から得られる質問や悩みを、院長先生自身がブログ形式で発信しています。専門的な内容を分かりやすく説明する記事は、患者さんからの高い支持を得ています。
一方、技術的なSEO対策や競合分析、サイト構造の最適化といった作業は外部業者に委託しています。院長先生は施術と患者さんとのコミュニケーションに集中し、技術的な部分は専門家に任せるという明確な役割分担により、効率的な運用を実現しています。 結果として、オリジナリティの高いコンテンツと専門的なSEO施策の相乗効果により、検索経由の問い合わせは着実に増加。特に、先生による症例紹介記事からの予約率は非常に高い効果を示しています。
投資回収の目安とタイムライン
さらに別の接骨院では、綿密な投資計画に基づいてSEO対策を展開しています。
具体的に初期投資と月額の運用費用を設定し、段階的な成果目標を立てて実施しているのです。
3ヶ月目までは基盤構築期間として、サイト構造の最適化とコアコンテンツの作成に注力。4〜6ヶ月目で検索順位の上昇と流入増加を図り、7ヶ月目以降は流入数の安定化と転換率の向上に焦点を当てました。
こうした計画的な運用の結果、新規患者さんを着実に増加させることができ、新規患者さん一人あたりの年間診療報酬を考慮すると、適切な期間での投資回収が可能となりました。
さらに、2年目以降は安定した検索流入により、投資に対して十分なリターンを得られる状態を維持しています。
この事例は、SEO対策が初期は投資的な性質を持つものの、長期的には極めて効率的な集患手段となることを示しています。
【まとめ】持続可能なSEO対策の実現に向けて
接骨院のSEO対策で重視すべきことは、一時的な成果ではなく、持続可能な集患の仕組みづくりです。
成功のための3つの要諦
持続可能なSEO対策を実現する3つの要素を紹介しましょう。
1つ目は「患者さん視点の徹底」です。ある接骨院では、実際の患者さんの声を丁寧に集め、そこから得られた疑問や不安に応えるコンテンツを作成しました。特に、初めて接骨院を利用する方の不安や、治療期間に関する疑問など、来院のハードルとなる要素に丁寧に対応することで、サイトの信頼性を高めることができました。
2つ目は「地域性の活用」です。京都にある接骨院では、単に地域名を入れるだけでなく、地域特有の生活習慣や働き方に関連した症状について詳しく解説。例えば、和服の着付けによる肩こりや、観光業に従事する方の腰痛など、地域に密着した具体的な内容を展開することで、地域住民からの共感を得ることができました。
3つ目は「専門性の適切な表現」です。ある接骨院では、高度な専門知識をわかりやすく伝えることに注力。特に、レントゲンでは異常が見つからない痛みの原因や、症状が慢性化するメカニズムなど、患者さんが理解しにくい部分を丁寧に説明することで、専門家としての信頼を獲得しています。
今日から始められる具体的なアクション
すぐに実践できる施策として、まずは既存コンテンツの見直しから始めることをお勧めします。
既存の症状説明ページに、実際の患者さんの声や治療経過を追加してみてください。具体的なエピソードを織り交ぜることで、コンテンツの説得力が大きく向上するはずです。
そのためには、日々の診療で得られる患者さんからの質問を記録し、それをもとにコンテンツを充実させていくのが効果的です。 問診時によく聞かれる質問を整理し、それぞれに対する丁寧な回答をサイトに掲載してみてはどうでしょうか。潜在的な患者さんの不安解消に役立つでしょう。
長期的な視点での改善計画
持続可能なSEO対策を実現するには、長期的な視点での計画が欠かせません。
半年ごとの目標設定と四半期ごとの見直しを行うのがおすすめです。特に重要なのは、検索エンジンの進化や患者さんのニーズの変化に柔軟に対応できる体制づくりです。
最新の治療機器の導入や、スタッフの研修受講なども、コンテンツ更新の重要な機会です。そういった情報を適切に自院サイトで発信することで、院の成長とSEO対策を連動させることができます。
長期的な成功のカギは、「患者さん第一」の姿勢を常に忘れないことです。
技術的なSEO対策も重要ですが、最終的に評価されるのは、患者さんにとって価値のある情報を提供できているかどうかです。この原点を忘れず、継続的な改善を重ねていくことで、持続的にSEO対策を実現していけるでしょう。
