整骨院業界の競争が激化する今、新規患者の獲得だけに頼っていては、経営を安定させることはできません。
鍵は、一度来院した患者さんを大切にし、長期的な関係を築くリピーター戦略にあります。
本記事では、整骨院のマーケティングを数多く手がけた私たちの経験をもとに、患者さんが「また来たい」と思う院づくりの具体的な方法を解説します。
「技術は良いはずなのに患者が定着しない」「集客に頭を悩ませている」という院長さんは、ぜひ最後までお読みください。
なぜ今、整骨院のリピーター獲得が重要なのか

ここ数年、整骨院の数が爆発的に増えています。全国に5万軒を超える状況で、新規患者の獲得競争はますます激化の一途をたどっています。
こんな時代、一度来てくれた患者さんに何度も通ってもらう「リピーター戦略」こそが生き残りの鍵になっています。
私たちディプシーは長年、整骨院のマーケティング支援に携わってきましたが、新規集客に大金をつぎ込んでも成果が上がらず、悩む院長さんに何人もお会いしてきました。
よく言われるように、新しい患者さんを獲得するコストは、既存患者を維持するコストの約5倍もかかります。しかも、リピーター率がたった5%上がるだけで、利益は25〜95%も増加するという調査結果もあります。
つまり、経営安定化のためには、派手な広告よりも地道なリピーター対策の方がずっと効果的なのです。
リピーターが増えると整骨院はどう変わる?

「でも、新規患者も大事じゃないの?」と思うかもしれません。
もちろん大事です。
ただ、リピーターにはそれ以上の大きな強みがあります。
まず、収入が安定します。「今月は患者が少なくて赤字かも…」という不安から解放されます。当社のあるクライアントは「リピーターが増えてから、初めてゆっくり眠れるようになった」とおっしゃっていました。
次に、より効果的な治療ができます。患者さんの状態をじっくり把握できるようになるからです。
一回きりの治療より、継続的な施術の方が圧倒的に効果が出やすいですよね。そして患者さん自身も効果を実感しやすく、そこからさらに信頼関係が深まるという好循環が生まれるのです。
さらに、満足度の高いリピーターは強力な「伝道師」になってくれます。「うちの整骨院、すごくいいよ!」と家族や友人に紹介してくれる。実際のデータでも、紹介で来院した患者さんは、広告を見て来た患者さんに比べてリピート率が約2倍も高いことがわかっています。

あなたの整骨院の「理想の患者さん」は?

リピーター戦略で成功するには、まず自分の院の「理想の患者さん像」を明確にすることから始めましょう。
「うちの整骨院ならどんな人でも治せます!」
というのは、実は逆効果。特定のタイプの患者さんに絞った方が、リピーターは増えやすいのです。
例えば、ある整骨院では、通院圏内に大企業のオフィスが多かったため、「30〜40代のデスクワーカー・肩こり・腰痛専門」と打ち出しました。ランチタイムに施術を受けられる短時間メニューを用意し、予約システムを改善したところ、半年でリピート率が倍増しました。
一方、住宅街にある整骨院では、「子育て中のママ」をターゲットに定め、キッズスペースを充実させ、産後の骨盤ケアに特化したサービスを展開。口コミで評判が広がり、リピーターが着実に増えています。
このように、「誰の」「どんな悩み」に応えるのかを明確にすることで、その層の患者さんから選ばれる整骨院になれるんです。
デジタルツールを使ってリピーターを増やす具体策

今どきの整骨院経営には、デジタルツールの活用が欠かせません。
といっても、難しく考える必要はありません。
最も効果的なのは、「予約のリマインド」と「施術後のフォローメール」です。
「明日の15時にご予約いただいております」
という単純なメッセージから始めて、徐々に、
「季節の変わり目は体調を崩しやすいので、ご無理のないようお過ごしください」
といった健康アドバイスも加えていくのが効果的です。
あるクライアントでは、施術3日後に「お身体の調子はいかがですか?」という簡単なメールを送るだけで、再来院率が23%もアップしたそうです。患者さんはそれだけで「自分のことを気にかけてくれている」と感じてくれるんですね。
SNSも強力なツールです。
ある院長さんは、「SNSなんて若い子向けでしょ」と最初は懐疑的でした。しかし、InstagramでのセルフケアのTips発信を始めてみたところ、既存患者の「見ました!」という声が増え、関係性が深まったそうです。「いいね」やコメントがモチベーションになって、今では更新が楽しみになったとか。
ディプシーからのアドバイス
デジタルツールは便利ですが、あくまで患者さんとの関係を深めるための手段。
一気に完璧を目指すのではなく、まずは小さく始めて徐々に広げていきましょう。
「忙しくて続かない」というのが最大の敵ですので、無理なく続けられる範囲から取り組んでください。
スタッフ全員が理解していることも重要です。
整骨院の強みは「人の温かさ」。テクノロジーと人間味のバランスが取れた活用を心がけましょう。

口コミの力をフル活用する

リピーターを増やすには、口コミ対策も重要です。特にGoogleのクチコミは要注目。評価4.5以上の整骨院は、4.0以下の院に比べてリピート率が30%以上高いというデータもあります。
「評価を上げるって難しそう…」と思うかもしれません。
大丈夫、単純なことからコツコツ始められます。
例えば、施術後に「今日の施術はいかがでしたか?」と声をかけ、患者さんが満足そうな反応をしたときに、
「もしよろしければ、Googleで感想を書いていただけると嬉しいです」
と伝える。
これだけでも口コミは増えていきます。
さらに、患者さんからの良い評価や体験談を院内に掲示すると、「ここに通えば良くなるんだ」という安心感が生まれ、リピート率の向上につながります。
あなたの整骨院だけの「ブランド」を作る

長期的なリピーターを獲得するには、院の独自性を打ち出すブランディングが欠かせません。
「肩こり専門」「スポーツ障害特化」「産後ケア」など、特定分野に特化すると、その悩みを持つ患者さんから「あそこは専門家だから」と信頼を得やすくなります。
ある整骨院では、院長自身がマラソン愛好家だったことから、「ランナー専門」を掲げました。
ランニングフォームの分析、障害予防トレーニング、レース前後のコンディショニングなど、ランナー特有のニーズに応えるサービスを展開していった結果、今では県内外からランナーが集まる人気院になり、驚異のリピート率90%を達成しています。
地域のマラソン大会でケアブースを出展したり、地元のランニングクラブと連携したりと、地域に根差した活動も好評のようです。
「あの先生、地元のマラソン大会でいつも手伝ってくれてるよね」という印象が、しっかり信頼感につながっているのです。

患者さんの「体験」を徹底的に良くする

「結局、技術が良ければリピートするんでしょ?」
そう思いますか?
実は、技術は必要条件ではあるものの、十分条件ではありません。患者さんが感じる「体験」全体が重要なんです。
「技術は確かなのに患者が定着しない」と悩むクライアントがいました。
しかし、よくよくヒアリングしてみると、電話の対応がぶっきらぼう、待合室が殺風景、施術の説明が不十分など、技術以外の部分に課題があったのです。
これらを改善したところ、リピート率が1.5倍に向上。
「技術は変わってないのに、なぜ?」と驚いていましたが、患者さんは施術だけでなく、院の雰囲気やスタッフの対応も含めた「体験全体」で継続を判断するんですね。
具体的には、清潔で居心地の良い院内環境、患者さんの名前を覚えて呼びかける、前回の会話を覚えているなど、小さな心配りの積み重ねが大きな差を生みます。
ディプシーからのアドバイス
見落としがちなのが「施術の前後」の時間。患者さんの満足度を大きく左右するのは「最初の3分」と「最後の3分」、つまり来院直後の受付対応と、施術後のお見送りの印象が、全体の体験評価を決めます。
初めての来院時は緊張している患者さんも多いので、温かく迎え入れるひと言や、不安を取り除く簡単な説明が大切です。
施術後には「今日の施術で良くなった点」「これからどうなっていくか」を伝え、次回の来院につなげましょう。
リピーターを増やす「仕組み」を作る

継続的な来院を促す「仕組み」も効果的です。
「健康サポート会員制度」のように、月額定額で一定回数の施術を受けられるプログラムを導入した整骨院では、安定した収益基盤を確立しています。
別の整骨院では、月額6,000円で月4回までの施術を受けられるプログラムをつくり、さらに会員向け健康セミナーなどの特典をつけました。
導入から3年で会員数150名を超え、院長は「毎月の売上の8割が会員からの安定収入になった」と喜んでいます。
ポイントカードや回数券も効果があります。
来院ごとに100ポイント(1ポイント=1円)を付与し、貯まったポイントを施術料金や物販商品に使える仕組みを導入した整骨院では、「ポイントをためたい」という新たな来院動機が生まれ、リピート率が向上しました。
ただし、「医療機関らしからぬ商業的な印象」にならないよう、「健康維持・増進のサポートプログラム」として位置づけることが大切です。

患者データを宝の山に変える

経営を安定させたい整骨院経営の強い味方が、顧客管理システム(CRM)です。
手書きのカルテやエクセルでの管理から一歩進んで、専用のシステムを活用することで、リピート率を大きく向上させることができます。
例えば、
「3週間以上来院がない患者にフォローの連絡をする」
「誕生日にメッセージを送る」
「施術履歴に基づいたパーソナライズされたアドバイスを提供する」
といったきめ細かな対応が可能になります。
「ITに疎くて…」という院長さんも多いですが、最近の整骨院向けCRMは使いやすく設計されています。70代の院長さんでも、スタッフの助けを借りながら上手に活用していますよ。
「教える整骨院」になる

患者さんに役立つ健康情報やセルフケア方法を提供することで、院への信頼感と結びつきを強めることができます。
成功している整骨院の多くは、「治すだけ」でなく「教える」役割も担っています。
月1回のニュースレターやメールマガジンで季節の健康アドバイスを送ったり、YouTubeで簡単なストレッチ動画を配信したりと、様々な形で情報提供しています。
「60秒でできる腰痛改善ストレッチ」「デスクワーク中にできる肩こり予防」などの短い動画をInstagramとYouTubeで配信した整骨院では。「続けやすい」と患者さんに好評で、「もっと詳しく教えてほしい」と来院する人が増えました。
ポイントは、「難しすぎない」「すぐに実践できる」内容を提供すること。
こうした情報発信は「来なくても良くなる方法を教えている」と思われがちですが、実際には「ちゃんと理解して教えてくれる先生だから、もっと相談したい」という信頼につながります。
【まとめ】整骨院のリピーター獲得は「信頼関係」づくり
様々な戦略をご紹介しましたが、根底にあるのは「患者さんとの信頼関係構築」です。
マーケティングの技術や仕組みも大切ですが、それらはあくまで信頼関係を築くための手段に過ぎません。
本当に患者さんの健康に向き合う姿勢があってこそ、リピーターは増えていきます。
技術の研鑽はもちろん、患者さんの話にしっかり耳を傾け、わかりやすく説明し、施術後のフォローも丁寧に行う。そんな当たり前のことの積み重ねが、実は最強のリピーター獲得戦略なのかもしれません。
一朝一夕で実現するものではありませんが、一度築かれた信頼関係は、長期的な経営の宝となります。今日から取り入れられることから、ぜひ始めてみてください。
