整体院の数は年々増え続け、技術だけでは差別化が難しい時代です。成功している整体院の共通点は、「顧客ニーズを的確に捉え、それに応えるサービスを提供している」ということ。正直、技術を磨くことと同じくらい、「顧客ニーズの把握」は重要なのです。
本記事では、整体院ならではの顧客ニーズの把握方法と、それを活かした具体的な差別化戦略を解説します。明日からすぐに実践できるヒントが必ず見つかるはずです。
- 【この記事を読んでほしい人】
- ・整体院の集客やリピート率に課題を感じている経営者・マーケティング担当者
- ・競合他院との差別化を図りたいと考えている整体院のオーナー
- ・顧客のニーズを正確に把握し、サービス改善につなげたい施術者
- ・開業間もない整体院で効果的なマーケティング戦略を模索している方
整体院における「顧客ニーズ」とは?

「顧客ニーズ」なんて言葉を聞くと、なんだかちょっと堅苦しいですね。簡単に言えば、「お客さんが本当に求めていること」です。
整体院の場合、お客さんが表面上で伝えるニーズ(明示的ニーズ)と、言葉には出さないけれども実は強く求めていること(潜在的ニーズ)の両方を理解することが大切です。
「痛みを取る」といった明示的なニーズにだけ焦点を当てて、それ以外の潜在的なニーズを見過ごしていませんか?
お客さんが口に出すニーズ | お客さんが言葉には出さないニーズ |
---|---|
・肩こりや腰痛をなんとかしてほしい ・姿勢を良くしたい ・体を柔らかくして動きやすくしたい ・マラソン大会前に体のコンディションを整えたい ・仕事のストレスでカチカチになった体をほぐしたい | ・この先生なら安心して体を任せられる ・清潔で心地よい空間でリラックスしたい ・予約がスムーズに取れて、待ち時間が少ない方がいい ・自分の状態や施術内容をわかりやすく説明してほしい ・プライバシーに配慮してほしい |
ある整体院では、院長先生の技術力に定評がありましたが、なぜかリピート率が低く、悩んでいました。そこで顧客アンケートを実施してみると、意外な事実が判明。「先生の技術は素晴らしいけど、予約が取りにくい」「待ち時間が長くて次回は迷う」という声が多かったのです。
そこで予約システムを見直し、オンライン予約を導入。さらに施術時間の管理を徹底したところ、わずか2ヶ月でリピート率が向上しました。技術以外の部分に課題があったわけです。
こうした例からも分かるように、整体院で成功するためには、「痛みを取る技術」だけでなく、予約のしやすさや施術環境など、顧客体験全体に目を向けることが大切です。
整体院の顧客ニーズを把握する方法

お客さんの本音をどうやって知ればいいのか。ここでは、整体院で実際に使える顧客ニーズの把握方法をご紹介します。費用をかけずにできることなので、ぜひ試してみてください。
アンケート調査を工夫する
地味ですが、アンケートの効果は抜群です。とはいえ、「満足でしたか?」だけの単調な質問では深いニーズは掴めません。以下のようなポイントに分けて具体的に尋ねてください。
下記はアンケートの質問例です。
- ・今日の施術で一番良かった点は何ですか?
- ・施術者の説明はわかりやすかったですか?
- ・待ち時間や予約のしやすさについてどう感じましたか?
- ・院内の雰囲気や清潔感はいかがでしたか?
- ・次回受けてみたい施術やサービスはありますか?(自由記述)
アンケートの回答率を上げるには、答えてくれた方に次回使える割引クーポンを配布するのも効果的です。ちょっとした工夫が大きな違いを生みます。
施術中・施術後の会話を大切にする
お客さんとの何気ない会話の中に、貴重なニーズがひそんでいることがあります。日本人は特に不満をストレートに伝えるのが苦手なので、「大丈夫です」と言っていても、実は別の希望を持っていることも多いです。
下記は会話のきっかけ例です。
- 「前回の施術後、体の調子はどうでしたか?」
- 「今日の施術の強さはいかがでしたか?もう少し強くした方がいいですか?」
- 「普段、どんなときに痛みを感じることが多いですか?」
- 「ご自宅でのケアは続けていますか?難しい点はありますか?」
たとえば、施術後に5分ほどの「お茶タイム」を設けて、リラックスした雰囲気で患者さんの声を聞いてみてはいかがでしょうか。思わぬアイデアが生まれ、新たな顧客層の開拓に成功するかもしれません。
オンラインの口コミをチェックする
Googleマップの口コミやSNSでの投稿は、お客さんの本音が詰まった宝の山のようなものです。定期的にチェックして、次のようなポイントに注目してみてください。
- ・複数の口コミに出てくる共通の評価点や不満点
- ・競合他院と比較されている点
- ・「期待していたのと違った」という声(期待と現実のギャップ)
たとえば「施術は良いけど場所が分かりにくい」というコメントがあったら、ホームページに詳細な道順写真を追加してみましょう。それだけで初来院の方を増やせます。小さな改善が積み重なると、大きな変化につながります。

顧客ニーズに基づいて整体サービスを差別化する

顧客ニーズが見えてきたら、次はそれを活かして整体サービスを差別化していきましょう。「うちならでは」のサービスを作ることで、「選ばれる整体院」になれます。
特定の顧客層に絞り込む勇気を持つ
「選ばれる」と言っても、「みんなに選ばれる」より、「特定の人に絶対選ばれる」ことを目指す方が効果的です。ターゲットは、絞れば絞るほど集客しやすくなるのです。
下記は特化型の例です。
- スポーツに特化: ランナー向け、ゴルファー向けなどの専門メニュー
- 女性に特化: 産前産後ケア、生理痛緩和、美容整体
- ビジネスパーソン特化: デスクワークの疲れに特化した短時間集中ケア
ある整体院では、周辺のIT企業に勤めるエンジニアが多いことに着目し、「デスクワーク疲れ改善プログラム」を開発して、営業時間を夜まで延長したところ、新規客を増加させることに成功しました。技術が同じでも、ターゲットを絞ることで大きな差が生まれる好例です。
施術以外の価値も提供する
整体院が提供するサービスは、もちろん施術ですが、それ以外の付加価値サービスも大切です。「施術後も続く価値」を提供できれば、顧客満足度は高まります。
下記は試してほしい付加価値サービスです。
- ・自宅でできるセルフケア動画のLINE配信
- ・食事や生活習慣のアドバイス提供
- ・施術効果を持続させるためのグッズ販売
- ・オンラインでの簡易相談対応
たとえば、施術後に5分間のセルフケア指導を行い、その内容をスマホで撮影してLINEで送信するサービスはどうでしょうか。「家でも続けられて効果が持続する」という評判が生まれて、知人紹介率を上げられるかもしれません。
施術環境とお客様体験を磨く
整体院での患者さんの体験は、エントランスを入った瞬間から会計を済ませて出ていくまでのすべてが含まれます。この「顧客体験」全体を見直すことが、差別化につながります。
下記は顧客体験を高める例です。
- ・予約〜来院〜施術〜会計〜アフターフォローまでの一貫した心地よさ
- ・待合スペースの居心地(香り、温度、音楽、飲み物など)
- ・カウンセリングの丁寧さと理解しやすい説明
- ・施術後のフォローアップ連絡
ある整体院では、季節に合わせたアロマの香りと施術着の質にこだわり、「病院っぽくない、リラックスできる空間」という評判を獲得した結果、リピート率が明らかに向上したそうです。
顧客ニーズに応える整体院のマーケティング戦略

たとえ良いサービスを作っても、それがちゃんと患者さんに伝わらなければ意味がありません。顧客ニーズに基づいたマーケティング戦略で、効果的に自院の価値を伝えましょう。
ターゲット顧客を明確にする
まず、「誰に伝えるか」ということが明確でないと、マーケティングは空振りに終わってしまいます。自院のサービスが最も響く人物像を具体的に描くことが大切です。
下記はターゲットの例です。
- 「30〜40代の子育て中の女性で、産後の体型変化と腰痛に悩みながらも、自分の時間を作るのが難しい人」
- 「週末にランニングやゴルフを楽しむ50代のビジネスマンで、パフォーマンス向上を目指しつつも年齢による衰えを感じ始めている人」
このように具体的にターゲットを設定すれば、その人の悩みやニーズに刺さる言葉で語りかけることができます。
役立つ情報を発信する
顧客のニーズや悩みに関連する情報を発信することで、「この整体院は自分の悩みを理解している」という信頼感を醸成できます。
下記は役立つ情報の例です。
- 「デスクワーク中に5分でできる首こり予防ストレッチ」
- 「ランナー必見!レース前後のセルフケア方法」
- 「夏バテで疲れやすい体を整える3つの簡単習慣」
YouTubeで「5分でできる肩こり改善ストレッチ」シリーズを配信した整体院があります。すると「動画を見て来ました」という新規客が月に10人以上来院しました。コンテンツマーケティングの効果です。
口コミが自然と広がる仕組みを作る
どんな広告よりも、信頼できる知人からの推薦は効果的です。満足したお客さんからの口コミを促進する仕組みを取り入れましょう。
下記は口コミを促進する方法の例です。
- ・施術後の満足度が高い時に、自然な形でGoogle口コミの記入をお願いする
- ・紹介者と被紹介者の両方にメリットがある友人紹介制度
- ・SNSでシェアしたくなるような体験や空間づくり
ある整体院では、施術後に「今日の施術はいかがでしたか?」と質問し、「良かった」と答えた方にはさりげなくGoogle口コミのカードを渡すようにした結果、口コミ数が増え、新規客も比例して増加したそうです。

顧客ニーズを把握して差別化に成功する展開例

理論より、もっと具体的な例に即して解説したほうが分かりやすいと思います。ここでは、顧客ニーズを上手く捉えて差別化に成功するための施策案をご紹介します。
展開例「女性専門の整体院」
これは女性整体師が多い整体院の展開案です。ここでは、一般的なメニューで開業しましたが、アンケートを分析すると「女性特有の悩みに対応してほしい」という声が多かったとしましょう。
このような場合、思い切って女性に特化したサービス展開に舵を切る展開が考えられます。たとえば産前産後ケア、生理痛緩和、更年期症状のケアなど、女性特有の悩みに応える専門メニューを開発し、施術環境も女性が安心してくつろげる空間にこだわってはどうでしょうか。
さらに女性向けの健康コラムをブログやSNSで定期的に発信し、「女性の悩みを本当に理解してくれる整体院」というブランドイメージを確立する展開が考えられます。
こうして施策によって女性客の比率を高め、人気店になっていくというプランです。
展開例「スポーツ特化型整体院」
こちらは院長が元スポーツトレーナーであるような整体院の展開案です。この整体院が、来院者との会話から、実は一般のスポーツ愛好家からも「専門的なケアを受けたい」というニーズがあることを発見したとしましょう。
このような場合、プロアスリート向けの技術を一般愛好家にも提供するサービスを展開することが考えられます。ランニング、ゴルフ、テニスなど競技別の専門メニューを開発し、単なる痛み対処ではなく「パフォーマンス向上」という価値を前面に打ち出すのはどうでしょうか。
地域のランニングクラブに無料講座を提供したり、YouTubeでフォーム分析動画を配信するといった施策が効果的でしょう。
週末スポーツを楽しむビジネスパーソンを取り入れることができれば、顧客を増やし、売上も成長させることができます。地域のスポーツ大会の公式整体院として認定されたりすれば、ブランド力も向上させられるでしょう。
【まとめ】顧客ニーズを理解し、整体院の差別化を図るために
最後に、顧客ニーズを把握し、差別化につなげるためのポイントをまとめておきましょう。
- ① お客様の声に耳を傾け続ける:アンケート、会話、口コミなど、お客様の声を定期的に集め、変化するニーズをキャッチする姿勢を持ち続けましょう。
- ② 明確な個性を打ち出す:「何でもできる整体院」ではなく、特定のニーズに深く応える専門性や独自性を持つことが、選ばれる秘訣です。
- ③ 顧客体験全体を設計する:施術技術だけでなく、予約のしやすさから施術後のフォローまで、顧客体験の全てのポイントを丁寧に設計しましょう。
- ④ 改善を止めない:顧客のフィードバックを元に、常にサービスを進化させ続けることが長期的な成功につながります。
整体院業界は今後も競争が激しい状態が続くでしょう。しかし、顧客ニーズを深く理解し、それに応えるサービスを提供する整体院は、必ず選ばれ続けるはずです。
「誰にでも選ばれる整体院」を目指すのではなく、「特定の顧客に絶対に選ばれる整体院」を目指すことこそ、これからの時代に成功する整体院の鍵だと思います。
私たちディプシーは、整体院のWebマーケティングやブランディング戦略の支援を通じて、多くの実績を蓄積してきました。顧客ニーズの把握から差別化戦略の構築、効果的なマーケティング展開まで、あなたの整体院の成長をトータルでサポートします。何か質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
